良いデザインが生まれる条件
DATE . 2024.02.24
Category : ブランディング / ブランディングデザイン
Creative Director
小売業からデザインの道へ進み、3度の起業を経て、現在はブランディングを軸に中小企業の支援を行う。WEBを活用したマーケティングが好き。根拠はないが"招き猫体質"らしい(笑)
© 2024 TONE BRANDING.
DATE . 2024.02.24
Category : ブランディング / ブランディングデザイン
Creative Director
小売業からデザインの道へ進み、3度の起業を経て、現在はブランディングを軸に中小企業の支援を行う。WEBを活用したマーケティングが好き。根拠はないが"招き猫体質"らしい(笑)
「デザイン経営」という言葉が広まりつつあり、多くの企業が経営の根幹にデザインを据え、
それに投資を行っているように思われます。
しかし、外部のデザイナーやデザイン会社に依頼しても、
思い描いていたデザインを実現するのが難しいというケースが少なくありません。
何度もデザインを作り直しても、納得のいく結果が得られないという悩みを持つ企業も多いでしょう。
今日は、「良いデザインが生まれる条件」についてお話しします。
結論から言うと、「指示型ではなく、共創型である必要がある」ということです。
デザイナーの視点から見ると、筆がスムーズに進むデザインとそうでないデザインが存在します。
僕自身の経験から言うと、筆がサクサクと進むデザインがある一方で、そうではないものもあります。
これは多くのデザイナーにとっても共感できる現象だと思います。
特に僕の場合、ブランディング案件に取り組む時はデザイン作業がスムーズに進みます。
これは、ブランディング案件ではコンセプトを深く理解しているためだと考えています。
ワークショップを通じてクライアントの思いや戦略を共に深掘りし、
コンセプトを一緒に構築していく過程が、このスムーズな進行の自然な結果であると思います。
逆に、筆が進まないデザインは、クライアントが伝えたいことが不明瞭な場合に起こります。
僕はデザイナーを「ラブレターの代筆者」と考えています。
伝えたいことが明確でなければ、それをどのようにデザインで表現すれば良いのか分からず、
結果的に作業が停滞してしまいます。
筆の進行がスムーズかどうかは、
デザイナーがクライアントをどれだけ理解しているかに依存します。
クライアントをどれだけ理解していても、
それが必ずしも良いデザインにつながるわけではないという疑問は残ります。
デザインはAIやロボットではなく、「人間」が考え抜きながら創り出すものです。
感情を持つ人間によって作られるため、感情がアウトプットの質に影響を与えます。
苦手意識を持ちながらのデザインよりも、
好意や応援の気持ちを持って作るデザインの方がより良質なものになります。
「仕事なのだからデザイナーも柔軟に対応すべき」という意見もあるかもしれませんが、
これは避けられないことだと僕は考えます。
クライアントに対して苦手意識を持つのは、根本的に「価値観」の違いがあるからです。
結婚と同様に、価値観の異なる人同士では上手くいかないことが多いですよね。
無理に価値観が異なる人と関わるよりも、同じ価値観を持つ人と結びつく方が良いでしょう。
クライアントとデザイナーの価値観が合わない場合は、
クライアントが別のデザイナーを探す選択をするのが賢明です。
価値観が一致し、好意や応援の気持ちがあること。
デザイナーがどれだけプロジェクトを自分事として捉えられるかが重要です。
価値観が合わない関係でデザインを共に作ると、
最終的には双方にとって不幸な結果に終わる可能性があります。
やはり相性は重要です。
これまでデザイナーの視点から話をしてきましたが、
良いデザインを生み出すために依頼側がどうすればよいかという疑問があります。
その答えは、具体的な指示を出すのではなく、共創の姿勢を示すことだと考えます。
「この部分をゴシック体で太字にして、ここにはこの内容を入れて、色は赤で…」
といった具体的な指示を出すと、デザイナーはそれに従って作成します。
特に依頼側が上位の立場にある場合、指示された通りに作成されることが多いです。
しかし、これでは良いデザインは生まれず、
デザイナーの能力を活かすこともできません。
コミュニケーションを取りながら、背景や目的をしっかり伝え、具体的な指示を避け、
共に考え、作り上げる共創の意志を早い段階で示すことが重要です。
依頼側は業界に慣れてしまい、自社の視点から離れにくく、
エンドユーザーの視点に立つことが難しくなりがちです。
デザイナーを第三の視点として加えることで、
エンドユーザーに伝わりやすいデザインを作ることができます。
良いデザインが生まれるための条件を挙げるとすれば、以下の点が大切です。
まず、クライアントとデザイナーの間で「価値観」が一致していることが大前提です。
加えて、デザイナーがクライアントの要望や背景を十分に理解していることが必要です。
そして、依頼側は具体的な指示を出すのではなく、共に創造する「空気感」を作り出すことが求められます。
これらの条件が揃うことで、初めて「良いデザイン」が生まれる環境が整うのではないでしょうか。
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